看護系から自社開発のSaaSを提供する企業へ転職できるのか?
看護系という異業種からIT系の職種に転職できるの?
看護系の仕事は、直接人を助けられるやりがいのある仕事である反面、夜勤やなかなか休みを取れない状況が発生することで生活リズムを崩しやすく、実際に体を壊してしまう場合もあります。
同僚や患者との人間関係や、責任感の重さ、家族との時間の両立が難しいといった点も看護系に起こりがちな悩みです。そういった悩みから、他業種への転職を考える人もいます。
他業種への転職を考える場合、自分の担当していた職種に近い職種を選ぶ人もいれば、全くこれまでのスキルが通用しない異業種への転職を挑戦する人もいます。
IT業界の抱える問題は慢性的な人材不足
今回は看護系からIT業界への転職について紹介していきます。IT業界は看護系からすると共通しているスキルが少ない、全くの異業種と言って良い業種です。
しかしながらIT業界は、パソコンやインターネットが一般に普及し始めた頃から慢性的な人材不足が発生している業界です。そのため未経験の人も積極的に採用している傾向があります。
企業にもよりますが、未経験の状態ですぐ現場に出されるわけではなく、入社後の研修で数ヶ月間しっかりと学び、将来の人材として育成するシステムを整備しているところもあります。
また未経験で研修が受けられる企業の募集対象が新卒、第二新卒という社会人歴5年以内くらいの業種が多い中、IT業界は30代くらいまでが対象となっている求人も見受けられます。
看護系等の専門職に関しては資格が必須となる業務内容がありますが、IT業界のほとんどの業務に資格は必須となりません。担当するプログラミング言語やシステムに対するスキルや知識、経験があるかということが重要となってきます。
異業種からIT業界への転職に有利になるように資格を取得したいという場合も、利用されることがまれなものやリリースされたばかりのものでない限り、ネット上に情報が豊富にあります。
近年では無料で利用できるプログラミング等の学習サイトもたくさん出てきてますし、関連書籍もたくさん出版されています。
これは転職する際の資格取得時に限ったことではなく、実際に入社してからスキルアップ、スキル取得していく時も同様です。このようにIT系の職種は独学で学んでいけるツールが揃っている状況です。
以上より、看護系に限ったことではありませんがIT業界は異業種からの転職を検討しやすく、窓口も広目の業界と言えます。
今回の記事では、IT業界の中でもSaaS系サービスを自社開発をしている企業への転職について紹介していきます。
以下サイトでは、看護師の方がグルメ系のメディアを中心に運用しているIT企業の株式会社favyへ転職した理由や、転職後の状況が紹介されています。ぜひ参考にしてみてください。
看護師だった私が、favyのエンジニアになって得られた2つのこと
自社開発とは?
IT業界のサービス形態は、大きく受託と自社開発に分けられます。受託は他企業から依頼されたシステム導入や開発、ソフトウェア開発を請負い、完成品を納品するビジネスです。顧客の対象はほとんどが企業です。
プロジェクトの人員としてクライアント先に出向するというような受託のスタイルもあり、それぞれ雇用形態や呼称が異なりますが今回細かくは取り上げません。クライアントの要望を実現していくのが受託です。
反対に自社開発は、他企業からの依頼とは関係なく、自社で発案されたアイディアを形にしていくようなビジネススタイルとなります。サービス提供先は企業や一般消費者と様々です。
受託はクライアントから決められた納期が絶対的となり、納期に追われることが多いですが、自社開発は一般的に納期は緩めと言われています。
事前にリリース日を発表していて、上司等から厳守の大号令がかかった場合は別ですが、特定の顧客がいるわけではないのでその分切羽詰まった状況を味わうことは少ないです。
受託では要望を叶えるための開発が必要になり、コスト等多くの制約下で仕事をしていくのに対し、自社開発は比較的制約が少ない中で開発を進めていけるという特徴もあります。
自分達の望む開発を実現し、その結果完成したシステムやソフトウェアを利用した人達からの反応を直に受け取れます。また受託は開発物がヒットしても直接の利益にはなり辛いですが、自社開発の場合は直接企業の利益につながります。
自社開発にはデメリットもある
ここまで自社開発の特徴とメリットを挙げてきましたが、もちろんデメリットもいくつかあります。
自社開発系は開発にいくら時間を費やしたとしても開発物を使ってもらえなかった場合は一切利益になりません。最悪の場合、お蔵入りとなります。
受託の場合で儲けが0となることは稀ですが、自社開発の場合は0どころか開発費や人件費等の面で企業的にマイナスになる可能性もあります。
また受託の場合はクライアントやベンダー等の外部の人とのコミュニケーションを取る機会がありますが、自社開発の場合は固定のメンバーとのコミュニケーションがほとんどということがあります。
スキルアップに関しては、受託の場合、得意不得意にかかわらず要望を実現するために、必然的にスキルアップしながら対応していくことが多々ありますが、自社開発の場合は同じスキルを使い続ける可能性が高いです。
自社開発の企業に向いている人
自社開発の企業への転職は、あまり納期や制約に囚われず、社内で出たアイデアを一丸となって実現していくという過程や、利用者からの反応を直に受け取れることにやりがいを感じる人が向いていると言えます。
以下サイトでは、受託と自社開発の両方を経験した人の比較記事が載っていました。自分がどちらに向いているか判断できる材料の一つになるのでぜひご覧ください。同じくメリット・デメリットを紹介しているサイトのリンクも貼っておきます。
受託開発と自社開発、両方経験して分かった自社開発のやりがいと大変さ
【必見】自社開発に未経験から目指すメリットとデメリットを解説してみた
SaaSとはどんなサービス形態か?必要なスキルは?
SaaSは「Software as a Service」の略です。クラウドサービスが普及してから主流となっているサービス形態の一つで、それまでCD等からインストールして利用していたサービスを、インターネット接続だけで利用できるようにしたものです。
インターネット上で利用できるため、利用者側のパソコン環境やスペックに左右されず、インターネット接続さえできれば誰でもほとんど同じように利用できます。
そのため、アカウントとパスワード等の特定の情報が分かっていれば、外出先の端末から普段利用しているクラウド環境にアクセス可能となります。
またSaaSは特定の目的に適したシステムが完成した状態で提供されるため、サーバー等の専門的なIT知識がない人でも直感的に利用できるサービスが多いです。
SaaSサービスの例
具体的なSaaS系サービスの例としては、GmailやYahoo!メールといったWebメールサービス、Microsoft製品がパッケージ利用できる「Office365」、マーケティングや営業支援に対応したセールフォースドットコムの「Salesforce」等があります。
ファイルストレージサービスの「Dropbox」、ビジネスチャットの「slack」や「Chatwork」、会計ソフトの「freee」やWeb会議ツールの「Zoom」もSaaSの一例です。
以上がSaaS系のほんの一部のサービス例ですが、インターネットを利用している人であれば聞いたことがある、あるいは利用しているようなサービスがたくさんあります。
SaaSとクラウドサービスの関係
SaaSはクラウドサービスと呼ばれるサービス形態の一つで、PaaSやIaaSという形態と並列されます。PaaSやIaaSはITの専門知識が必要なのに対して、SaaSはパソコンの基本的な操作ができれば使えるというところも主流となっている理由の一つです。
かつてクラウドサービスは便利という面より、セキュリティの安全性への懸念点がクローズアップされ、オンプレミスと呼ばれる自社サーバーとプライベートネットワークでのシステム運用が主流でした。
しかしIT技術の向上でセキュリティの安全性が確保できるようになってからは、コスト削減にも大きな効果があることからクラウドサービスが注目されるようになってきました。
その中でも、特にIT知識に明るくない人達でも利用できるようなSaaSは、仕事だけではなくプライベートのコミュニケーションツールとしても利用されるほどに浸透していきました。
企業利用では、例えばアパレルや飲食等、IT企業ではないもののIT製品を利用する必要に迫られている業界や、同じIT企業でも目的の開発に専念したいスタートアップ企業等ではSaaS系サービスが多く利用される傾向にあります。
SaaSは、不具合が発生した場合の対処はサービスの提供元が対処してくれる他、定期的なメンテナンスやセキュリティアップデートの対応も不要で、さらに最新バージョンへのアップデート作業も自身で行う必要もありません。
SaaSの将来性
スマートキャンプ株式会社の『SaaS業界レポート2020』によると、2020年の日本国内のSaaS市場は年平均13%の成長率を見せており、2024年には1兆1,200億円に拡大するとの見通しがされていました。
テレワーク、在宅ワークが増えていく中でWeb会議や電子契約、オンライン上のコミュニケーションが必要な状況となっていったことがその理由の一つに挙げられています。
一度普及したこれらのサービスは便利である限り無くなっていくことは考えづらく、クラウドサービス全体で見ても、大企業がシステムをクラウドへ切り替える傾向が継続していて、SaaSの需要もしばらく拡大すると考えられます。
以下サイトではSaaS以外のクラウドサービスについても詳しく紹介されているので、その他形態との違いを知りたい人はぜひご覧ください。
SaaS、PaaS、IaaSとは。3分で理解するそれぞれの違いとクラウド基礎知識について
以下サイトでは代表的なSaaS企業が紹介されています。大企業ばかりではありますが、ぜひ転職先の参考としてみてください。
2020年の参考にすべき36のトップSaaS企業、トップSaaS製品とは
自社開発系で未経験OKの求人はどのくらいあるの?
今回、自社開発の企業で未経験OKの求人がどの程度あるかを各転職サイトで確認してみました。
「type」では自社開発の求人を検索すると637件ありました。そのうち未経験OKの求人は93件でした。「求人ボックス」では128,340件のうち未経験OKが30,971件、「indeed」では42,452件のうち未経験OKが14,958件でした。
各サイト総じて、経験者が対象となる求人の4分の1以下程度ではありましたが、自社開発系は、プログラミング等の開発を行えるだけの高度なITスキルが必要となる分野なので、決して少なくはない求人数です。
以下が今回の検索例です。ぜひ参考にしてみてください。
以下はSaas系で未経験OKの求人を検索した例です。あわせてご覧ください。
自社開発のSaaSを扱う企業に転職してIT業界でキャリアを積んで行こう!
自社開発は高度なITスキルが必要とされることも多く、未経験からの転職では大変な部分も多くありますが、自分達が世に生み出しているサービスと実感しやすい等のやりがいもあります。
看護系からIT系への転職は関連性がなさ過ぎて難しそうと思われがちであるものの、IT業界は未経験者を歓迎しているところも多いので、検討に入れるべき転職先の一つと言えます。
ぜひIT業界を目指すのであれば、これからの成長も期待できるSaaSサービスを自社開発する企業への転職を考えてみてはいかがでしょうか?
以下サイトでは、看護師から未経験でIT業界に転職するために必要となる情報がまとめられていたので参考にしてみてください。
看護師が未経験からITエンジニアに転職するためには資格(免許)は必要?結論、必要ないです。むしろ、○○の方が大事です
以下サイトでは看護師からの転職におすすめの業種が紹介されていました。IT業界も含まれていましたが、様々な可能性を模索するために見てみてはいかがでしょうか。